京都市西南に big rainbow東山五条 清水寺が近い中 年 女 性 。 高 血 圧 と 不 眠 で 加 療 中 。 以 前 か ら 咽 喉 の 乾 燥 感 が あ り、 痰 が 付 着 し て い る よ う で 不 快 。 気 に な り 始 め る と 頻 回 に “ え ず く ” よ う に す る 。 数 年 前 よ り 下 肢 の 痺 れ 痛 み を 自 覚 。 歩 行 時 に 悪 化 す る 。 床 に 入 り 天 井 を 見 る と、 グ ル グ ル 回 転 す る よ う な め ま い を 感 じ る 。 耳 鼻 科 に 行 っ た が 治 ら な い 。 血 圧 は コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る が、 普 段 か ら 肩 凝 り が あ る 。

脈 は 沈 細 弦 で や や 数 。 舌 は 深 紅 で 少 苔、 乾 燥 し て い る 。 舌 下静 脈 の 怒 張 は み ら れ な い 。 陰 血 不 足 が 著 し い 。 イ ラ イ ラ は な い と 言 う が、 脈 状 よ り 肝鬱 が み ら れ 化 火 し て い る 。 七 物 降 下 湯 2 包 + 疎 経 活 血 湯 2 包( 朝 夕 )、 黄 連 解 毒 湯 1 包( 眠 前 )を 投 与 。 4 週 間 後、 め ま い 消 失 。 痺 れ 痛 み も ほ ぼ 消 失 。 咽 喉 の 不 快 は ま だ み ら れ る が 軽 快 し た 。

女 性 は 月 経、 出 産、 授 乳 な ど で 陰 血 不 足 に な り や す い 。 ま た、 現 代 ス ト レ ス 社 会 は 肝 鬱( 交 感 神 経 の 緊 張 )を 招 く 。 熱 産 生 が 亢 進 し( 化 火 )、 陰 血 が 消 耗 さ れ( 傷 陰 )、 陰 血 不 足 が 助 長 さ れ る 。 陰 血 が 不 足 し 咽 喉 が 養 わ れ な い と、 咽 喉 は 乾 燥 し 不 快 と な る 。 筋 肉 ・ 神 経 の 場 合 は 痺 れ た り 痛 み を 感 じ る 。 陰 血 が 燃 焼 し 火 が 産 生 さ れ、 火 が 上 昇 し 頭 部 を 衝( つ )く と 眩 暈 が 生 じ る 。

七 物 降 下 湯、 疎 経 活 血 湯 と も “ 四 物 湯 ” 加 減 で あ る た め、 陰 血 を 補 う( 滋 陰 養 血 )方 剤 で あ る 。 七 物 降 下 湯 に 含 ま れ る 釣 藤 鈎 は、 火 が 風 を 舞 い 上 げ 頭 を 撹 乱 す る の を 治 め る( 熄 風 )。 黄 柏 は 火 を 消 す 。 眠 前 の 黄 連 解 毒 湯 も 消 炎 鎮 静 す る 。 こ れ ら の 作 用 で 眩 暈 が 消 失 し た 。 疎 経 活 血 湯 に は 活 血 化 瘀 薬( 駆 瘀 血 薬 )も 含 ま れ る 。 こ れ ら は 血 流 を 改 善 す る 。 血 液 の 3 割 は 筋 肉 に 存 在 す る 。 血 液 の 需 要 が 旺 盛 だ 。 筋 肉 痛 に は 活 血 化 瘀 が 必 要 だ 。

咽 喉 の 不 快 感 な ら 半 夏 厚 朴 湯 な ど と 短 絡 的 に 考 え た ら、 本 例 は 確 実 に 悪 化 し て い た 。 半 夏 厚 朴 湯 は 化 痰 す な わ ち 乾 か す 薬 で あ る 。 知 識 と 臨 床 は 異 な る 。 研 究 室 に 籠 っ て い て は 実 践 力 は つ か な い 。